写真をよく撮るようになった。iPhoneを持つようになってからだ。常に手元にあるiPhone。けっしてiPhoneを宣伝しているのではない。本当は、いつも首から一眼なり、トイカメラなり、ポラロイドなりをぶら下げ歩く、そんなお洒落さんでありたいと思ってる。でも、実際はいつも首から下げていたら、邪魔だし鬱陶しいし、きっと僕は一方的にカメラが嫌いになってしまう。僕ら博愛主義ではないけど、自分の都合だけで相手を嫌いになりたくはない。カメラも僕を嫌いになんてなりたくないと思う。

僕の移動手段の大半は徒歩だ。自転車もキックボードも車もない。徒歩というのは牛の反芻に似ている。草を噛んだらのんで、のんだらまたその草を噛んで。僕の右足をだしたら、次は左足。左足をだしたら、次は右足。ただの反復運動ではない。一回一回、一歩一歩、かみしめながら。かみしめながら。

牛のようにゆっくりとではあるけど、写真を撮って、たくさんの人に見てもらいたい。
牛のようにゆっくりとではあるけど、僕の目にしたものを形に残したい。
牛の反芻のように、何度も何度も瞬間の日常を噛んではのんで、のんでは噛んで、僕の血となり肉となって欲しい。