Photo by スープ 2013-03-14 09:46:46 0 comments 626 views

なにごともなく、晴天。

「晴れてよかったね、今日」と私は話をはぐらかした。
「ここは、晴れも雨も判らないけど」
サキは同意しなかったが、
「それでも、空が晴れていれば、まぁなんとかなるかぁって、気持ちも晴れてくる」
見えない空を二人で仰いだ。
むつ子さんの<むっつ>には、ふたつ足りない。でも、私も看板を掲げてみることから始めてみようか。
「<よっつ>」と、こっそり、もう一度言ってみた。
見上げた高架の上を午後四時二十分の下り急行列車が通過し、
「え?今何か言った?」
急行が通り過ぎたあとに、見えない晴天を見上げながらサキがそう訊いた。
「教えない。まだ秘密だから」
顔に書いてあったかもしれないけど、私も見えない晴天を見上げながらそう答えた。

ハート

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